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UPカラ直し
目的
安定して打弦準備に入ると同時に、タッチ無駄の無いように調整する。 その寸法には幅があったり、ピアノによってもジャックの動きが違う。工場では寸法調整で構わないが、現場では機能調節を勧める。 機能調節の基本はジャックを観ることである。そして調整寸法と演奏寸法の認知である。以下の説明から、それを汲み取って欲しい。カラ調整
- やり方1:鍵盤撫でて、ジャック頭部とバットスキンを見る。
- やり方2:鍵盤撫でて、キャッチャーとバックチェックを見る。
突き上げ調整
やり方1:鍵盤座板後撫でて、ハンマーを見る。
鍵盤を叩く場合は、バックレールクロスを通常状況以上に押さえることとなり、演奏時の状況と解離するので高精度で仕上げる場合は絶対にしてはならない。鍵盤を撫でる場合は、クロスを圧縮する範囲が広くなるので、叩く以上にクロスが凹むことを知る必要がある。 圧縮されたクロスを元に戻すには、数回打鍵してクロスの繊維を揺らすこと。圧縮が強いほど戻りにくいのは当然である。突き上げ量を減らして行くと、鍵盤筬を1回叩くとハンマーが動き、2回目以降は動かなくなるのはそのためである。この状況でカラを判断しに掛かるのも適切ではない。 この作業では、突き上げ状況を見る事しかできない。整調の目的は突き上げを直す事ではなく、ジャックの動きを正す事である。ジャックが再打弦状態に入るのであれば、突き上げ状態で構わない。やり方2:打弦後、ゆっくり鍵盤を戻して、ジャックがバットに潜り込むか確認する。
重要なのは、鍵盤を戻す速度によって鍵盤が止まる位置が変わるということである。ゆっくり戻し過ぎて、演奏タッチとかけ離れた状況だけで見ていても仕方が無い。鍵盤を戻す速さは、ハンマーがハンマーレールでバウンド*しない範囲にする。*突き上げ状態でも、通常使用ではジャックがバットに潜り込めるのはこの為である。このバウンドはハンマーストップにより微変化する。